コミュニケーション記事 2009-06-05

15 「本当は合格したいのに」


梅雨入りもそこまで来ています。
梅雨というとよく思い出す出来事がいくつかあります。
その中の一つです。

ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴りました。
「誰だろう、こんな雨の中?」

薄暗くなりかけた時間、少し雨脚が強くなってきています。
本を読んでいた私は玄関に出てドアを開けました。

傘をさしたA子さんの姿がありました。

「あら、どうされましたか?」

「先生、突然お邪魔してすみません。
 おかげさまで試験に合格しました。ありがとうございます。
 今日、先ほど合格の知らせが来ました。あまりにも嬉しかったので
 お知らせしたいと思い、仕事帰りに寄らせていただきました」

A子さんは仕事の都合上、ある国家資格が必要でした。
過去3回受験しましたが失敗しました。
4回目のチャレンジです。
今回不合格だったら年齢やその他の事情で
仕事を辞めなければいけない状況です。

そこで、私のところへカウンセリングに来られました。
「先生、今度は是非合格したいのです。
 絶対に合格しなければいけません。お願いします」

そして、カウンセリングが始まります。

「勉強していて何が問題のようでしたか?」

「集中して勉強ができません」

「何が集中を妨げているようですか?」 

「隣の犬の鳴き声と、主人が見ているテレビの音です」
このような会話を続けながら更に聞きます。

「A子さん、もし、もしも合格したとしたら
 今のA子さんの生活、仕事にどのような変化が起きますか?」

「そうですね・・・・。仕事では責任者と言う立場になります。
 そして、仕事がいそがしくなりますね。
 部下が出す毎日のレポートを読んでコメントを書きます。
 みんなが帰った後で帰りますので帰りが遅くなります。
 給料はほとんど変わらないのに、責任だけは大きく、重くなります」

「なるほどお~。そして、生活面ではいかがですか?」

「そうでうね。遅く帰るので晩御飯の準備が遅くなります。
 そうすると、主人が文句を言うことが多くなりそうです。
 それから、家のかたずけや掃除、洗濯が夜遅くになります。
 何だか、疲れきってしまいそうですね」

「なるほどですねえ~!! そんなに大変になるわけですね。
 それじゃあ、試験には合格したくはないですよね!!」

「えっ・・・・・・!!!!!!!!」

A子さんの意識では合格したいと思いながら
A子さんの無意識は合格することを、止めていました。
私たちには、よくあるパターンです。
意識と無意識が別々の考えを持っていること。

もちろん、合格して手に入る素敵なことも聞きました。

「このまま仕事が続けられる。責任者というトップのポジションにつける。
 プライドが保てる。皆から尊敬される。
 ボーナスと退職金が違う。」

素敵なことも沢山出てきました。

「そうか!!!!!わかりました。がんばります」

それから数ヵ月後
A子さんの嬉しそうな姿が玄関にありました。

否定的だった今までのA子さんを
梅雨の雨がきれいに洗い流して
新しいA子さんがそこにいるような気がしました。

無意識は答えを知っています。
本当はどうしたいのか??

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